エコビレッジ国際会議2009
satoimoです
エコビレッジ国際会議TOKYO 環境危機世紀 持続可能なコミュニティへの挑戦 〜小さなアクションから大きなうねりへ〜 レポート http://begoodcafe.com/main/ecvc2009 2009年4月24-26日(金—日)に東京でエコビレッジ国際会議が催された。 3日間を通して述べ918名が参加。講演やワークショップ、ライブ、上映会、交流カフェなど全53プログラムが実施された。 エコビレッジとは、都会でも田舎でも、「お互いが支え合う社会づくり」と「環境に負荷の少ない暮らし方」を追い求める人が作るコミュニティのこと。エコビレッジは今や意識的に世界中で創られている。何千年と続く伝統的な暮らしをしている世界各地の先住民や日本の結などの地域に根付いた相互扶助システムなどと里山の循環型の暮らしは改めて定義されることもなく、エコビレッジ生活またはエコライフだ。しかしここで取り上げられているエコビレッジは、持続不可能なシステムが一度ははびこった国家、地域において、それに対する「オルタナティブ」として誕生したコミュニティとして位置づけられる。エコロジーな建材で作られたマンションが“エコビレッジ■□”として販売されているが、もちろんここでは該当しない。 主催者によるとエコビレッジの特徴は以下の3つがあげられる 特徴1.持続可能なエネルギーや水、物質の利用・再利用の実践 特徴2. 持続可能な食料自給 特徴3. 持続可能なコミュニティ形成 (http://begoodcafe.com/main/ecvc2007_about#ecvより) 第3回目である今回は“日本でどうエコビレッジを始めるのか”のヒントと情報が盛りだくさんのプログラムだった。 <日本の事例紹介や住人によるプレゼンテーション> ここでは、分科会で話を聞いた3つのエコビレッジについて紹介する。この他にも全国各地で様々なスタイルでエコビレッジは展開されている。 エコビレッジ鶴川 マンション型エコビレッジ http://blog.goo.ne.jp/ecov 居住希望者と施行会社による約2年の議論と工事を経て誕生した。材も居住ルール、交流システムもすべて住民参加の形でつくられた。 一度、友人宅を見学させてもらったことがあるが、心地よいことこの上なし。顔が見えて、助け合える関係を居住前から育んできた彼/彼女らは子育ても、老後も心配なしの勢いだ。 建物の特徴 ・コンクリートを緻密に打設し、内部の鉄筋を効果的に配置した300年を目指す高耐久性マンション。 ・ 徹底したシックハウス対策で、ほとんど化学物質を使用していない。 ・ 電磁波対策に配慮し、電磁波過敏症をお持ちの方にも住んでいただいている。 ・ 外断熱通気工法にし、断熱効果を高めているので(断熱性能:寒冷地仕様相当)、ライフサイクルCo2の発生が少ない。 ・ 国産木材を使用している。 ・ 屋上菜園や自然菜園があるので、農的生活が営まれている。 ・ 大人同士、子ども同士、大人と子どもとも仲睦まじいコミュニティが実現した。企画者サイドから見てもうらやましいぐらい。 ・ 緑と環境委員、大工クラブ、カーシェアリングクラブ、子育てクラブなどが活動している。 木の花ファミリー 血縁、世代を超えた共同生活型 http://www.konohana-family.org/ 血縁、世代を超えた共同生活をしている木の花ファミリー。自給を基本とし、市内で最大の有機農業経営体である。代表である古田偉佐美さんは「いさどん」とよばれ、住人みんながあだ名で呼び合うフラットな関係を大事にしている。その関係性づくりの実践は毎日行われる大人会議と子ども会議である。日々発見される課題やアイデア、恋愛まであらゆることを共有し、助け合える関係を作っている。住民は年々増え続けている。年中体験のお客様や、精神疾患を抱える方が療養に訪れるという。 <特徴> ・ 収入はファミリーで得て、大人全員で平等に分配(血縁を超えたひとつの家計) ・ 化学肥料、化学農薬を使わない自然農法により、食べるもののほとんどを自給 ・ 玄米菜食をベースにした健康な食生活、EM菌の活用 ・ 自然をモデルにした調和の精神、こころを磨くことを重視 ・ 創立以来一晩も欠かさない夜のミーティングで日々の運営を決定 ・ 心の問題をはじめ、あらゆる事柄を全員でシェアする_ ・ 心の病を持つ人を受け入れ、回復を支援 ・ 富士宮市との共同事業により有機農業実践講座などを実施 ・自然食レストランや出版・教育事業などの「いのちの村」づくりを推進 足立 エコアパート アパート型エコビレッジ http://blog.canpan.info/eco-apa/ 4世帯が足立区に畑付きのアパートに住む。庭はつながっているので、そこでの会話がコミュニティづくりに一役買っている。2階建てで夫婦と小さい子どもがすむ程度なら快適な広さである。 家賃が12万円で賃貸なので長期間すむには向かない条件だ。今の住居には満足しているがもっと田舎に引っ越したいという住人もいるようだ。空くのが楽しみ?! エコビレッジの取り組みは地球環境の観点から考えて持続可能であること、パーマカルチャー、有機農業などによる農的生活の実践。そして、なにより助け合える、お金では得られない心地よい人間関係を実現しているように見受けられた。 すばらしい取り組みであることには何の異論もないが、どこか特定の要素を持ち合わせている市民のもののような気がしてならない。 1)ある一定の地球環境保護や社会貢献といった分野への意識、高い関心。 2)それなりの収入 が参加できる条件のような印象を持った。簡単に言えば 「万人のものではないのではないか」という排他的特徴がありはしないかと感じたのだ。 しかし、26日の午後のプログラム「べてるの家はスローのふるさと〜障がい者が主役の地域づくり」でその疑問については一気に解消された。 大げさに言えば、答えがそこにあった。 ここでのメッセージは「エコビレッジはコミュニティ」である。 プログラムは精神疾患とつきあいながら、地域で生きる人々、地域づくりの事例紹介として北海道 浦河町のべてるの家の話を中心に、関連するオランダエルメロ、アメリカペンシルバニア州キンバートンヒルズの話が展開された。 ここでは主に浦河の話に集中したい。 べてるの家 http://www18.ocn.ne.jp/~bethel/ 北海道 浦河町−人口1万人の町に日赤病院がある。べてるの家は日赤病院の精神科を退院した人々が共同生活を始めたことから始まった。現在では様々な活動を展開し、昆布販売のビジネスでは年間1億円以上を売り上げるという。その担い手は当事者の人々だ。昨今では年間3000人がべてるの家を目当てに浦河を訪れている。 ソーシャルワーカーの向谷地さんは「コミュニティづくりは障がい、病気を経験した人にどう地域が学ぶか」がポイントだと言う。 彼の言葉を借りて言うならば、メンタルの問題はまさに人の環境問題である。人間関係のきしみ=人間環境のきしみだ。実は病気の人がいることで場が豊かになったりもする。弱さを共有し、状況を把握した上で、前に進む、そういったプロセスや状況を受け入れること事態、日本社会はしてこなかった。 疾患を持つ人々を排除して、つきあいやすい人たちでコミュニティを作ってきた。 聞き手の辻さんは、「エコビレッジは自給自足のことだと考え、何でもかんでも自分でやる、精神的/身体的に強い人々がするものだ」という印象が強いのではないか」と会場に投げかけた。 まさに私の印象もそうである。毒づいた表現だが、「あらゆる面で強い人々が集まりつくった理想をカタチにした街」、それがエコビレッジという印象もある。 しかし、そうではなく、エコビレッジはコミュニティなのである。弱さを補いあって作るのがコミュニティ=エコビレッジなのだ。 コミュニティとはないか?というヒントが浦河にありそうだ。 近々、浦河に絶対行くぞ! <追記> このあと、浦河町近くの出身だという友人にこの話をしたところ、地元の率直な意見を聞くことができた。友人曰く、浦河の取り組みはすばらしいと思うが、統合失調症で「殺せ!」などという声が聞こえている人たちが街をうろうろしていると思うと恐ろしいという。また、当事者に子どもが生まれ、育てることができず、知らぬ間に子どもが息絶えていたということもあったらしい。 私はまさに、住民がこの事実やリスクは受け止めてきたからこそ、今の浦河があるのだと思う。私自身、弱さを共有し、助け合える「コミュニティ」を実践することに迷いはない。(まずは”どこで誰と何をするか”を決めなきゃ始まらないね。) 以上
by satoimolove
| 2009-05-06 21:13
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