お別れ

WAKAMEです。

本日、母方の祖父が亡くなりました。

私の唯一の祖父で、また親族の中でもひときわ個性溢れる自慢の祖父でした。


終戦後シベリア抑留後、かろうじて生きて帰国し、それからコツコツと農地を買い集め誇りを持って新潟こしひかりを作り続けました。

バイタリティあふれ、プライドの高さと礼儀正しさ・厳しい躾では天下一品でした。最後に東京にきたのは9年程前、近所を少し散歩すると言って軽く5.6キロ歩いてしまうタフさでした。祖母の歩くスピードに合わせる私に「やさしい子だ」と言ってくれたのを鮮明に覚えています。

今から思うとそれが「私」と祖父との最後の会話でした。

祖父のアルツハイマーがここ一年ひどくなり、この4月、私はミュージカル練習を休んで10年ぶりに新潟に帰りました。まだ体は普通に動くものの、目は過去の時間の中を遊泳し、記憶は終戦後60年間シベリアかどこか異国の地にいたことになっていました。
もちろん私のことなど知っているわけもなく、生まれ育ったその家にもここ最近帰ってきたような、どこか親類みんなと一線を置くようなそぶりを見せるのです。

要は、祖父にとって人生で一番の出来事は、結婚でも子育てでもなく、戦争なのです。60年たってもなお、祖父の潜在意識の中で確実に戦争は生き続け、記憶を染色してしまうのです。

戦争でどんな恐ろしい経験をしたのだろう、シベリアで何が起こったのだろう。私は彼が生きている間、どうしてもそれを聞くことができず、亡くなった今日、取り返しのつかない後悔の念に襲われています。

できる限り早く、先人の知恵や昔の苦労話は勇気を持って聞いてみるほうが良い。

我々の祖先が祖先になる前に、、、。
by satoimolove | 2006-06-06 03:11 | reports
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