減反・GENTAN

satoimoです

先週末に減反勉強会@大地を守る会に参加してきました。

「米が余っているから政府が調整します。」という生産側の事情を知らない立場から考えると「ふつうじゃん(合理的)」、と思うことだとおもいます。
でも、「減反」に反対する人びとがいるのはなぜか?
というと減反は農業者の主体性を奪うものだからです。
農家さんの中には(特に有機農業をしていて農協などには関係していない、独立経営型農家)
減反には参加しないという人もいます。それは、自主独立性を担保するという考えに基づくところがあるからでしょう。
また、日本の農業は米づくりをとても大切にしてきた歴史があります。代々田んぼを守ってきたひとびとにとっては堪え難い政策であり、自殺者までも出たと言うことでした。
昭和40年代の米あまりに緊急避難的に行われる減反、しかしそれは今も続き、膨大な予算が費やされています。

それから、最近「減反」が話題になる理由としては、石破農林水産大臣が「減反やめる」的な発言をしたことがあったから。(しばらく前のR25で読んだ記憶が…)また、各政党が選挙を前に減反を政策中の論点にもあげているから、ではないかと思います。

今回の収穫(こんなことがわかった)
■国の試算では減反をやめた場合米価はどうなるか?
→一時的に米の生産量が過剰となり、米価が下がるが、10,000円/俵におちつく
 →これは現在8,000円/俵と言われる状況ではむしろ、ましになる試算です。
(減反やめてもいいじゃん)

■食糧自給率を上げるにはどうしたらいいのか?
→国の統計上カロリーベースの自給率は40%前後。これを押し下げているのは家畜を育てるための飼料穀物。これをほとんど輸入に頼っているからです。また、日本人の1人あたりの供給熱量の構成の推移を見ると米の割合が1/3減っています。(S40年−H18年)。でも小麦の消費量は増えたわけではない。脂質と畜産物(肉)からエネルギーを摂取するようになったみたいです。
 →では余っている米を飼料用にしたり、飼料用米を生産して、自給率を上げよう!と言う考えがあります。でも、飼料米は価格が主食用米の1/8の値段。農家さんにとっては原価割れでしょう…
  →自給率を上げるには、遊休地を(牧下さん曰く、山林も切り開き)できるだけ多く耕す田家では多分追いつかない。食べ方を変える(肉を食べるな!というのも無理があるけど…)必要があるということです。
昨年から、フードアクション(自給率アップ)キャンペーンが国の事業で大々的に展開されています。黒木メイサが出るCMまで打っているけど… そのお金使い方変えませんか? と減反勉強会に参加して改めて思いました。

■農家さんを支える消費者の視点
補助金に頼らないのが生産者も消費者にとっても理想だと思います。ではおこがましい言い方になりますが、どんなお米の食べ方、買い方をすることが農家さんをささえることにつながるのでしょうか?
→直接農家さんから買い、家でごはんを炊くこと、と言うことがわかりました。
価格は当然、農家さんが消費者に直接売る>流通/レストランなどに売る
と言うことになります。
現状は外食・中食が増える昨今。農水省の資料「食料品の最終消費における消費形態の推移」によると生鮮での消費が25% 、加工・外食が75%となっています。つまり米もそれに関連するわけだから、外食・中食を増やすということは農家さんの経済の悪化につながる可能性があるんだな。

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勉強会は
みんな有機にして10俵→7俵になれば減反はいらない 笑 
と言う、冗談でありながら、半分本当な司会者の前ふりから始まりました。

以下メモです。

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減反勉強会
〜米の減反をなぜ考える必要があるのか?〜
農水省の資料だけを使って話し合いましょう!

講演者:提携米研究会 牧下さん

1987年提携米アクションネットワークから活動開始

縁故米/闇米
食料管理法を変えることを目的に運動がスタート
米の輸入自由化、減反政策など常に農政議論になると浮上するのが米にまつわる問題。

■米の消費量
1965年 120kg /年 
2010年 60kg/年
半分に減っている。でも人口も増えたから総消費量は変わらない?

■ 世界は今
69億人のうち10億人が栄養不足
07年 オーストラリア 小麦不作 
 →世界で農産物の輸出規制 
 
経済力、アクセス力がないと飢えると言う現実。
資料:USDA 穀物の需給の推移

■世界の穀物の生産量
反収 2.4倍 面積は横ばい 収量は緑の革命後、上がらなくなってきている。

米の国際価格はめちゃくちゃ不安定
2008年5月 1kg 100円 タイの2等米の価格 最高値を付ける
その後経済危機でどんどん価格は下落。

主要農産物の貿易率:大豆は36%→貿易量が最も多い
米は貿易量が少ない→ちょっとした変化で、価格の変動が大きく出る。
=米は自給性の高い作物

06年→18年
直接消費量 19% 今後増える
家畜飼料が 34% 今後増える
→穀物の生産量期末在庫の見通し 在庫量が不足する。

トウモロコシとダイスはアメリカの畑でそちらで作るのか選択するので、上り下がりがある。 

■日本の自給率
食糧自給率 
精算額ベース 66%
資料自給率  25%→カロリーベースの自給率を下げている最大の要因

小麦の消費量は増えたわけではない。パンに変わったわけではない。
→畜産肉と脂でカロリーをとっている。結果的に米から摂取するカロリーが減っている。
穀物を食べずに肉や脂を多くとるようになった。

外食/中食の割合 1/3の割合を占める。
つまり、外食用に農家が販売する割合が増えた=農家が儲かる率が下がった。

97年 生鮮食品 25% 加工/外食 75%が増えている。
→加工食品の売り上げ構成が増える

年齢を聞く効果…それぞれの年代に応じて話題にリアリティがもてる。

■米を食べなくなったひとたち。
94年以降MA米が入ってきている。総需要料は下がっているわけではない。
米穀通帳が昭和45年まであった。
農協が1969年に自主流通米制度が始まる。食料管理法は続く。
政府は全量買っていたが、生産量が農業の機械化によって赤字になった。
余った米は74年から学校給食で処理することにした。

1971年 減反政策開始
→生産量が落ちる
しかし、農家は反収を上げる技術開発をしているので、作付け面積は減っているが、収穫量は減っていない。

H19年 食糧法改正によって、減反が面積から収穫量に変わった。

■農業の所得 H2 年〜H18年の間に所得が半減した。
現在減反奨励金はない

■水田整備と稲作労働時間
水田整備↑
減反して米の生産量は減らす↓
MA米輸入↑

■米は産業化されなかった
これから先安定的に確保できるか、とても大きな課題になってくる。
他の作物を作っている専業農家は野菜/果物などそれぞれで主な収入を得ている。
米の専業農家は米だけでは食べていけない。
→減反政策が生んだゆがみ

■ 減反政策に法的根拠はなかった
87年 特別栽培米制度 
訴訟
対象:有機栽培米などの減反をしないですむように。
条件:減反をしている。購入者名簿を提出する。
 100kg以下であること
食糧事務所が認定すること。

92年秋に復田奨励をした。
生産調整 
93年 GATTウルグアイラウンドで米の自由化になんとかは反対→MAに

H7年ころ 訴訟で国は減反を強制したことはない。自主的なものと言い続けた。

H7 食糧法 改正

作らせないことを前提とした政策@農水省

06年 いったん、米の減反政策はやめた!
07年 農協(豊作です)+自民党大敗
米価を落とさないために生産調整を強化しなくてはならないと、国は再び言い出した。
麦・菜種・食糧作物等の生産促進

■ 農水省予算
公共事業は減少
非公共事業:補助金

出荷販売 855万トン 638万トンが販売に回る 他は自家消費など。
農協を通していない米が169万トン
農協384万トン
→450万トン直接炊飯している分 半分は家庭に流れている。

米価格がどうしても下がる…輸入が増える、消費が減っている

精米価格 60kg
中国産 8400円
日本  15000円
飼料用 1800円
どんどん、輸入米の価格に近づいている国産米

米関連の赤字 1336億円

だぶついた輸入米を国内に安く流しているので、国内の加工用米が売れなくなっている。

■ 国産加工用米が買えない
加工業者は国に届けないと国産の加工用米を買えない。しかも買えてもどこの誰の米かわからない。

主食用の流通米しか生産量に計算されていない。
資本主義社会のしくみの中でうまく機能していない。

平成20年の需要実績 図1
不測時の食糧安全保障について一部の農水官僚は本気で考えている。

■自給率を上げられないのか?
1233万ヘクタール分の食糧を海外で作っている。
2倍以上の耕地面積を必要としていると、国は言っているが。
森林面積は増えている→森林面世紀を削れば?
決して土地がないわけではない。

722キロカロリー分を捨てている。
加工食品による廃棄率の増加。

■ 減反をやめると大変なことになる?

減反を
強化すると?→米価が安定
緩和すると→米価が下がる。
生産調整を廃止すると?→みんな米生産に戻るわけないじゃん。価格は下がる。生産量は増える?

では、生産調整をやめ、その予算(2000~3000億円)を他の作物の生産農家に価格補填をすれば良いのでは?
価格が落ちたときの経営的に成り立たない農家には支援をするべき。
中山間地域は防災の問題

(質疑応答)
・余ったものを海外に売れるか?
→いくらで売るか?による。場合によっては安く売らざるを得ないので、その販売者の地域つぶすことになる。

輸入を止めれば自給率は100%になる。

これからは食糧 米価格も高騰するので、ミニマムアクセス米(77万トン)も買えなくなる可能性がある。

自給率を上げる 問題は消費者がどうしたいか?
なのである。

どんどん有機の生産者が借りて、
生産調整にまわして減反の対象にしている。

麦・大豆の加工業者の購入補助を国に求めたい。
中山間地域には自治権を。地域の生き方を地域が決めることを。
国産の米は消費税0にしよう。

マニュフェスト>
自民党:担い手の上限撤廃。花粉症緩和米GM推進

民主党:米を作らせない減反はやめる。個別所得保証をやる
→どのようなるかわからない
GMOは表示をしよう路線
有機農業推進

農家戸数を減らす?
→票集めのために自民党は農家数を減らさないことをヌス衣装と一緒にやってきた。自作農主義だったが、食糧法改正で、変わった。
地域の民主主義のあり方から問われる

以上
by satoimolove | 2009-08-30 21:35 | 地産地消100連発
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